愛犬のチワワが舌をペロッと出している姿は可愛らしいものですが、頻繁に見られると「何か理由があるのだろうか?」「もしかして病気?」と心配になる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。チワワの舌が出る背景には、リラックスしている時などの生理現象から、注意すべき病気のサインまで様々な要因が考えられます。
この記事では、チワワの舌がペロッと出る主な理由として、生理現象から病気のサインまで幅広く掘り下げます。また、チワワの舌が出るのは病気なのかどうか、見分けるためのチェックポイントや、病気じゃないのに舌が出る場合の「しまい忘れ」の原因についても解説します。さらに、チワワの舌の出方はいろいろあり、常に舌が出ているのか、寝ている時だけなのかといったパターン別の解説や、チワワの骨格や歯並びと舌が出ることの関連性にも触れていきます。
加えて、注意したいチワワの舌が出ている時に考えられる口腔トラブルや、大切なチワワの舌を守るために知っておきたい乾燥や傷を防ぐ日常のケア方法、そしてチワワの舌にこんな症状が見られたら動物病院へ相談を検討すべきケースについても詳述します。高齢チワワ、いわゆるシニア犬になると舌が出やすくなるのか、その理由と対策、最後にチワワの舌が出るのを放置するリスクと適切な対応についても網羅的にお伝えしますので、ぜひ最後までご覧いただき、愛犬の健康管理にお役立てください。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができます。
記事のポイント
- チワワが舌を出す様々な理由と、それが一時的なものか注意が必要なものかの判断基準
- 舌が出ている場合に考えられる健康上の問題点と、その具体的な症状
- チワワの舌のケア方法や、動物病院を受診するタイミング
- 年齢による変化や、舌が出ている状態を放置することのリスク
チワワの舌が出るのはなぜ?主な原因を探る

- 舌が出る理由:生理的要因から病気サイン
- 病気じゃない舌が出る?しまい忘れ原因
- チワワの舌の出方:様々なパターン解説
- 骨格や歯並びとチワワの舌が出る関連
- 高齢チワワの舌が出やすい理由と対策
舌が出る理由:生理的要因から病気サイン

チワワが舌を出す行動には、様々な背景が考えられます。一概に心配な状態とは言えませんが、中には注意が必要なケースも含まれるため、その理由を理解しておくことは大切です。
まず、生理的な要因としては、リラックスしている状態が挙げられます。チワワが安心しきってくつろいでいる時、顔の筋肉が緩んで自然と舌が出てしまうことがあります。これは特に心配する必要のない行動と言えるでしょう。また、犬は人間のように汗をたくさんかくことができないため、舌を出して唾液を蒸発させるパンティングという行動で体温調節を行います。暑い時や運動後によく見られるこの行動も、生理現象の一つです。興奮している時にも、息が上がって舌が出ることがあります。
一方で、病気のサインとして舌が出ている可能性も考慮しなくてはなりません。例えば、口腔内に何らかの問題がある場合です。歯周病や口内炎、あるいは腫瘍などが原因で口を完全に閉じることができず、結果として舌が出てしまうことがあります。また、神経系の異常や、呼吸器系の疾患が影響している場合も否定できません。
このように、チワワが舌を出す理由は多岐にわたります。愛犬の様子を日頃からよく観察し、舌の出し方や他の症状の有無などを総合的に見て、生理的なものなのか、それとも何らかの不調のサインなのかを見極めることが求められます。もし普段と違う様子が見られたり、心配な点があったりする場合には、早めに動物病院で相談することをおすすめします。
病気じゃない舌が出る?しまい忘れ原因

チワワが舌を出している状態が必ずしも病気によるものではないケースも多く存在します。いわゆる「しまい忘れ」のように見えるこの行動には、いくつかの原因が考えられます。
一つには、リラックスしている時や眠い時、または寝ている間に口周りの筋肉が緩んで、無意識のうちに舌が出てしまうことがあります。これは飼い主さんのそばで安心しきっている証拠とも言え、特に心配はいりません。可愛らしい寝顔の一つとして、温かく見守ってあげるとよいでしょう。
また、何かに夢中になっている時にも、舌をしまうのを忘れてしまうことがあります。例えば、おもちゃで遊んでいる最中や、飼い主さんに撫でられて気持ちよくなっている時などです。このような場合も、一時的なものであり、健康上の問題を示唆するものではありません。
垂れ舌症候群の可能性
まれに、「垂れ舌症候群」と呼ばれる状態である可能性も考えられます。これは、文字通り舌が常に口の外に出ている、あるいはしまい忘れている状態が続くことを指します。原因としては、遺伝的な要因や老化、あるいは過去の病気やケガの後遺症などが挙げられます。遺伝や老化が原因の場合、根本的な対処は難しいこともありますが、日常生活に支障がなければ、個性として受け入れることも一つの考え方です。ただし、生まれつきではなく、ある時から突然舌をしまい忘れるようになった場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあるため、一度獣医師に相談してみるのが賢明です。
このように、病気ではない理由でチワワが舌を出すことは珍しくありません。しかし、舌が出ている状態が長時間続く、食事や飲水がしにくそう、乾燥しているなど、気になる変化が見られる場合は、他の原因も考慮し、必要に応じて専門家のアドバイスを仰ぐことが大切です。
チワワの舌の出方:様々なパターン解説

チワワが舌を出す様子は、一様ではありません。舌の出方やタイミングによって、その背景にある理由を推測する手がかりになることがあります。ここでは、いくつかのパターンに分けて解説します。
まず、常に舌が少し出ている、あるいは大部分が出ているパターンです。これは、前述の通り、骨格や歯並びの問題、あるいは垂れ舌症候群などが原因である可能性が考えられます。特にマズル(鼻先)が短いチワワの場合、構造的に舌が収まりにくいこともあります。
次に、寝ている時やリラックスしている時にだけ舌が出るパターンです。これは、顔の筋肉が弛緩することによる自然な現象であることが多く、特に心配する必要はないでしょう。飼い主さんのそばで安心している証拠とも言えます。
また、暑い時や運動後に「ハァハァ」と息をしながら舌を出すのは、パンティングと呼ばれる体温調節行動です。これも生理的な反応であり、犬にとってはごく自然な行動です。ただし、異常に暑がっていたり、パンティングが長時間止まらなかったりする場合は、熱中症の初期症状である可能性もあるため注意が必要です。
興奮した時に舌が出ることもあります。遊びに夢中になっている時や、嬉しいことがあると、呼吸が速くなり舌が出ることがあります。これも一時的なものであれば問題ありません。
一方で、不安やストレスを感じているサインとして舌を出す場合もあります。これはカーミングシグナルの一つで、自分自身や相手を落ち着かせようとする行動です。口の周りを舐めたり、頻繁にあくびをしたりする行動と共に見られる場合は、ストレスの原因を探り、取り除いてあげることが大切になります。
このように、舌の出るパターンは様々です。愛犬がどのような状況で、どの程度の時間、どのように舌を出しているのかを日頃から観察することで、その行動が何を意味しているのかを理解する助けになります。
骨格や歯並びとチワワの舌が出る関連

チワワが舌を出す原因の一つとして、その特徴的な骨格や歯並びが関連している場合があります。特に小型犬であるチワワには、口腔内の構造に起因する舌の突出が見られることがあります。
マズルの短さと顎の構造
チワワは、他の犬種と比較してマズル(鼻口部)が短い個体もいます。マズルが短い場合、口の中のスペースが相対的に狭くなり、舌を適切に収納する場所が十分に確保できないことがあります。これにより、舌の先端部分が常に口からはみ出してしまう、あるいは特定の状況で出やすくなることがあります。
歯並びの問題(不正咬合)
歯並びも舌の出方に影響を与える重要な要素です。犬の正常な噛み合わせは「鋏状咬合(シザーズバイト)」とされ、上の前歯が下の前歯にわずかに被さる状態を指します。しかし、チワワには遺伝的に歯並びの異常(不正咬合)が見られることがあります。
代表的な不正咬合には以下のようなものがあります。
- アンダーショット(反対咬合): 下の顎が上の顎より前に出ている状態で、下の前歯が上の前歯よりも前に出てしまう噛み合わせです。この場合、口が完全に閉じにくく、舌が出やすくなる傾向があります。いわゆる「受け口」です。
- オーバーショット: 上の顎が下の顎より前に大きく出ている状態です。これも口の密閉性が損なわれ、舌がはみ出しやすくなることがあります。人間でいう「出っ歯」に近い状態です。
これらの不正咬合があると、口を閉じても歯の間に隙間ができやすく、そこから舌が自然と出てしまうことがあります。特に、子犬の頃の乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、歯並びの問題が顕著になることもあります。
遺伝的要因
骨格や歯並びは遺伝的要因が強く影響します。そのため、両親犬が特定の骨格的特徴や不正咬合を持っている場合、子犬にも同様の特徴が現れる可能性が高まります。
もし、愛犬の舌が常に出ている状態で、その原因が骨格や歯並びにあると考えられる場合、日常生活に支障がなければ個性として受け入れることも一つです。しかし、食事や呼吸がしづらそうであったり、口腔内を傷つけてしまったりするような場合には、獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。場合によっては、歯科矯正や外科的な処置が検討されることもありますが、まずは専門家の診断を仰ぎましょう。
高齢チワワの舌が出やすい理由と対策

チワワも年齢を重ねると、若い頃には見られなかった体の変化が現れてきます。その一つとして、舌が出やすくなるという現象が挙げられます。高齢チワワ(シニア犬)になると舌が出やすくなるのには、いくつかの理由が考えられます。
主な理由としては、加齢に伴う筋力の低下が挙げられます。舌も筋肉でできており、他の体の筋肉と同様に、年齢とともに衰えていきます。舌を口の中に保持するための筋力が弱まると、舌が自然と口の外に出てしまいやすくなるのです。また、口周りの筋肉も同様に衰えるため、口をしっかりと閉じておくことが難しくなることも影響します。
さらに、高齢になると歯が抜けたり、歯周病が進行したりすることも舌が出やすくなる一因です。歯が抜けると、それまで歯によって支えられていた舌がはみ出しやすくなります。歯周病によって歯茎が後退したり、歯がグラグラしたりすることも、口の中の環境を変化させ、舌の位置に影響を与える可能性があります。
病気の影響も無視できません。高齢になると、心臓病や神経系の疾患など、様々な病気にかかりやすくなります。これらの病気が間接的に舌のコントロールに影響を及ぼし、舌が出やすくなることも考えられます。例えば、認知機能の低下によって、舌をしまうという意識が薄れることもあり得るでしょう。
対策としては、まず口腔ケアを継続することが大切です。歯周病の進行を抑えることで、歯の喪失を防ぎ、口内環境を良好に保つことが期待できます。また、定期的な健康診断を受け、全身状態を把握し、隠れた病気がないかチェックすることも重要となります。
舌が出ていること自体が直接的な問題を引き起こさない場合でも、舌が乾燥しやすくなったり、傷つきやすくなったりする可能性があります。そのため、舌の状態をこまめにチェックし、必要であれば保湿をしてあげるなどのケアも考慮に入れるとよいでしょう。食事がしにくそうであれば、フードの形状を工夫したり、食べやすい高さに食器を置いたりするなどの配慮も有効です。
高齢チワワの舌が出やすくなるのは、ある程度自然な老化現象の一部とも言えますが、背景に病気が隠れていないか、また日常生活に支障が出ていないかという点には注意を払い、必要に応じて獣医師のアドバイスを求めるようにしましょう。
注意!チワワの舌が出るとき見逃せないサイン

- 舌が出るのは病気?見分けるポイント
- 要注意!舌が出ている時の口腔トラブル
- 舌が出るのを放置するリスクと正しい対応
- 舌を守るために!乾燥や傷を防ぐ日常ケア
- 舌のこんな症状は動物病院へ相談しよう
舌が出るのは病気?見分けるポイント

チワワが舌を出している時、それが単なるリラックスや生理現象なのか、それとも何らかの病気のサインなのかを見極めることは、飼い主さんにとって非常に重要です。ここでは、病気の可能性を疑うべきチェックポイントをいくつかご紹介します。
まず、舌の色に注目しましょう。健康な犬の舌は通常ピンク色をしていますが、普段よりも極端に赤い、あるいは逆に白っぽい、紫色(チアノーゼ)や黄色がかっている場合は注意が必要です。赤すぎる場合は体温の異常上昇や炎症、白っぽい場合は貧血、紫色は酸素不足、黄色は黄疸の可能性があります。これらの色の変化は、それぞれ異なる健康問題を示唆しているため、速やかに獣医師の診察を受けるべきサインと言えます。
次に、舌の出し方がいつもと違う、あるいは突然舌を出すようになった場合も注意が必要です。以前はリラックスしている時だけだったのに、常に舌が出ているようになった、舌の出ている長さが以前より長くなった、などの変化は、何らかの異常が起きている可能性があります。
舌と同時に他の症状が見られる場合も、病気を疑う重要なポイントです。例えば、食欲不振、元気がない、嘔吐や下痢、咳をする、呼吸が苦しそう、よだれが異常に多い、口臭が強くなった、水をたくさん飲む、おしっこの量が多いなどの症状が伴う場合は、内臓疾患や代謝性疾患、口腔内の問題などが考えられます。
また、舌自体に異常が見られる場合も要注意です。舌に腫れ物やしこり、傷、潰瘍、出血などがある場合は、口内炎、舌癌などの口腔疾患の可能性があります。
行動の変化もサインとなることがあります。例えば、口をやたらと気にする、食べにくそうにする、水を飲みにくそうにする、おもちゃで遊ばなくなったなどの変化は、口の中に痛みや違和感があることを示しているかもしれません。
これらのポイントを参考に、愛犬の普段の様子と照らし合わせてみてください。少しでも「いつもと違う」「おかしいな」と感じたら、自己判断せずに動物病院で相談することが、病気の早期発見・早期治療につながります。
表:舌の色から考えられる健康状態の目安
舌の色 | 考えられる状態・疾患の例 | 対応の目安 |
---|---|---|
ピンク色 | 健康な状態 | 通常通り |
異常に赤い | 体温上昇、高熱、炎症、熱中症の初期など | 体温測定、体を冷やす、症状が強ければ動物病院へ |
白っぽい | 貧血、ショック状態など | 緊急性が高い場合あり、速やかに動物病院へ |
紫色(チアノーゼ) | 酸素不足、心疾患、呼吸器疾患、気道閉塞など | 緊急性が極めて高い、直ちに動物病院へ |
黄色(黄疸) | 肝臓疾患、胆道系疾患、溶血性疾患など | 速やかに動物病院で検査を受ける |
黒い斑点・シミ | 舌斑(健康上の問題なし)、メラノーマ(悪性腫瘍の可能性) | 膨らみやしこりがなければ舌斑。変化があれば動物病院へ |
この表はあくまで目安であり、正確な診断は獣医師が行います。気になる場合は必ず専門家にご相談ください。
要注意!舌が出ている時の口腔トラブル

チワワの舌が出ている状態が続く場合、その背景に口腔内のトラブルが隠れている可能性があります。口の中の問題は、犬にとって大きな不快感や痛みを伴うことがあり、食欲不振や元気消失につながることも少なくありません。
最も一般的な口腔トラブルの一つが歯周病です。歯周病は、歯垢や歯石が原因で歯茎に炎症が起こる病気で、進行すると歯が抜け落ちたり、顎の骨を溶かしたりすることもあります。歯周病が進行すると、口の中に痛みが生じたり、歯がグラグラしたりして、うまく口を閉じられずに舌が出てしまうことがあります。また、強い口臭も歯周病のサインの一つです。
口内炎も、舌が出る原因となることがあります。口内炎は、口の中の粘膜に炎症が起きる状態で、細菌やウイルスの感染、アレルギー、物理的な刺激などが原因となります。口内炎ができると、痛みで口を閉じたくない、あるいは腫れによって口が閉じにくくなり、舌が出てしまうことがあります。
口腔内腫瘍も深刻なトラブルです。口の中にできる腫瘍には良性のものと悪性のもの(癌)があり、悪性の場合、進行が早く命に関わることもあります。腫瘍が大きくなると、物理的に口が閉じにくくなったり、舌を圧迫したりして、舌が出てしまうことがあります。初期には症状が出にくいこともありますが、口からの出血、食欲不振、よだれの増加、顔の腫れなどが見られたら注意が必要です。
歯の破折や不正咬合も、舌の収まりに影響を与えることがあります。硬いものを噛んで歯が折れたり、生まれつき噛み合わせが悪かったりすると、口を完全に閉じることが難しくなり、舌が出やすくなることがあります。
これらの口腔トラブルは、いずれも早期発見・早期治療が大切です。舌が出ている状態に加えて、以下のようなサインが見られたら、口腔トラブルを疑い、速やかに動物病院を受診しましょう。
- 口臭が強くなった
- よだれが多い、またはよだれに血が混じる
- 食べ方がぎこちない、硬いものを避ける、食べるのに時間がかかる
- 口の周りを頻繁に触る、気にする
- 歯茎が赤い、腫れている、出血している
- 口の中にできものやしこりがある
定期的な歯磨きや口腔チェックは、これらのトラブルを予防し、早期に発見するために非常に有効です。
舌が出るのを放置するリスクと正しい対応

チワワの舌が出ている状態を、単に「可愛らしい癖」として見過ごしてしまうと、場合によっては健康上のリスクを高めてしまう可能性があります。そのため、原因に応じた適切な対応が求められます。
放置するリスク
舌が常に出ていることによる直接的なリスクとしては、まず舌の乾燥が挙げられます。舌は本来、唾液によって湿った状態に保たれていますが、常に空気にさらされていると乾燥しやすくなります。乾燥した舌はひび割れたり、傷つきやすくなったりし、痛みや不快感を引き起こすことがあります。
また、乾燥や傷から細菌感染を起こし、炎症(舌炎)につながる可能性も否定できません。食事の際に舌がこすれて傷ができやすくなることも考えられます。
もし舌が出ている原因が、歯周病や口腔内腫瘍などの病気である場合、放置することで病状が進行し、治療が困難になったり、全身状態の悪化を招いたりする恐れがあります。例えば、歯周病菌が血流に乗って全身に広がり、心臓病や腎臓病などの内臓疾患を引き起こすことも知られています。
呼吸器系の疾患や心臓病が原因で舌が出ている(チアノーゼなど)場合、放置は命に関わる事態に直結します。
正しい対応
まず、愛犬の舌が出ている原因を特定することが最も重要です。一時的なものなのか、常にそうなのか、他に症状はないかなどをよく観察しましょう。
原因がリラックスや暑さなど、一時的で生理的なものであれば、特に心配はいりません。しかし、以下のような場合は動物病院を受診し、獣医師の診断を仰ぐべきです。
- 突然舌を出しっぱなしにするようになった
- 舌の色が普段と違う(赤い、白い、紫など)
- 舌に傷や腫れ、できものがある
- 口臭が強い、よだれが多い
- 食欲がない、元気がない、体重が減ってきた
- 呼吸が苦しそう、咳をする
- 水を飲む量や尿の量が多い
獣医師は、視診、触診、必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、原因を特定します。
原因が特定できれば、それに応じた治療やケアを行います。例えば、歯周病であれば歯科処置、口腔内腫瘍であれば外科手術や放射線治療などが検討されます。骨格や歯並びの問題で、日常生活に支障がなければ、経過観察となることもあります。
舌の乾燥が気になる場合は、獣医師の指導のもと、口腔用の保湿ジェルなどを使用することも一つの方法です。
いずれにしても、自己判断で放置せず、気になる変化があれば早めに専門家である獣医師に相談することが、愛犬の健康を守るための正しい対応と言えるでしょう。
舌を守るために!乾燥や傷を防ぐ日常ケア

チワワの舌が常に出ている場合や、出やすい傾向にある場合、舌が乾燥したり傷ついたりするリスクがあります。大切な愛犬の舌を守るためには、日常的なケアが重要になります。
まず、舌が乾燥していないか、こまめにチェックする習慣をつけましょう。舌の表面がカサカサしていたり、ひび割れが見られたりする場合は、乾燥が進んでいるサインです。特に空気が乾燥しやすい冬場や、エアコンの効いた室内では注意が必要です。
舌の乾燥を防ぐためには、口腔内の湿度を保つことが大切です。水分を十分に摂取できるように、常に新鮮な飲み水を用意しておきましょう。食欲がない、あるいは水をあまり飲まない場合は、ウェットフードを取り入れたり、ドライフードをふやかしたりして、食事からの水分摂取を促すのも効果的です。
もし舌の乾燥が気になるようであれば、動物病院で相談の上、犬用の口腔保湿剤を使用することも検討できます。人間用の製品は成分が異なるため、必ず犬用のものを選びましょう。保湿剤を舌に直接塗布したり、ガーゼに含ませて優しく拭いたりすることで、乾燥を和らげる効果が期待できます。
舌に傷ができていないかも確認しましょう。食事の際や、おもちゃで遊んでいる時に、誤って舌を噛んでしまったり、硬いもので傷つけてしまったりすることがあります。小さな傷でも、放置すると細菌感染を起こす可能性があるため、見つけたら早めに動物病院で診てもらうのが安心です。
口腔内を清潔に保つことも、舌の健康を守る上で欠かせません。歯磨きを習慣にし、歯垢や歯石の蓄積を防ぐことで、歯周病のリスクを減らし、口腔内全体の環境を良好に保つことができます。歯周病が進行すると、口の中の細菌が増殖し、舌にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、室内の環境にも配慮しましょう。過度な暖房や冷房は空気を乾燥させるため、加湿器を使用するなどして、適切な湿度を保つ工夫も有効です。
これらの日常的なケアは、舌が出ているチワワだけでなく、すべての犬にとって有益なものです。愛犬の口の中の健康状態を常に気にかけ、適切なケアを行うことで、様々なトラブルを予防し、快適な生活をサポートしてあげましょう。
チワワの舌:こんな症状は動物病院へ相談しよう

チワワの舌が出ていること自体は、必ずしも異常ではありませんが、特定の症状が伴う場合は、病気のサインである可能性があり、動物病院への相談が必要です。見逃さずに対応することで、早期発見・早期治療につながります。
以下に、動物病院への相談を検討すべき主な症状を挙げます。
舌の色や形状の変化
- 舌の色が異常: 健康なピンク色ではなく、普段より極端に赤い、白っぽい、青紫色(チアノーゼ)、黄色がかっている、黒っぽいシミや斑点が急に現れたり大きくなったりする場合。
- 舌の腫れ: 舌全体または一部分が明らかに腫れている。
- しこりやできもの: 舌の表面や裏側、側面に、しこりやイボのようなものができている。
- 潰瘍やびらん: 舌にただれやえぐれたような傷(潰瘍)がある。
- 出血: 舌から出血している、または血豆のようなものができている。
口腔内や全身の症状
- 強い口臭: 以前よりも明らかに口の臭いがきつくなった。
- よだれの増加・性状の変化: よだれの量が異常に多い、ネバネバしている、血が混じっている。
- 食事の異常: 食べにくそうにしている、食べるのに時間がかかる、硬いものを避ける、食欲がない。
- 飲水の異常: 水を飲みにくそうにしている、水をたくさん飲むようになった。
- 口を気にする仕草: 前足で口の周りを掻いたり、床や家具に口をこすりつけたりする。
- 元気・活動性の低下: ぐったりしている、遊びたがらない、散歩を嫌がる。
- 体重減少: 食欲があるにもかかわらず体重が減る、あるいは食欲不振で体重が減る。
- 呼吸の異常: 呼吸が速い、浅い、苦しそう、咳をする。
- 発熱: 体が熱っぽい。
行動の変化
- 突然舌を出しっぱなしにするようになった: 以前はそのようなことがなかったのに、急に舌をしまい忘れるようになった。
- 痛みを伴う様子: 口を開けるのを嫌がる、触られるのを嫌がる。
これらの症状が一つでも見られる場合、あるいは複数の症状が組み合わさって見られる場合は、自己判断せずに速やかに動物病院を受診してください。特に、呼吸困難やチアノーゼ、意識レベルの低下など、緊急性が高いと思われる症状の場合は、夜間や休日であっても救急対応可能な動物病院を探して連れて行く必要があります。
診察の際には、いつからどのような症状が見られるのか、普段の様子との違いなどを具体的に獣医師に伝えることが、的確な診断の助けになります。可能であれば、気になる症状を動画や写真で記録しておくと、より伝わりやすいでしょう。
まとめ:チワワの舌が出る悩みのために

チワワが舌を出す行動について、様々な角度から解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- チワワが舌を出すのはリラックスや体温調節など生理的な理由が多い
- 興奮や不安、ストレスが原因で舌を出すこともある
- 口周りの筋肉の緩みや「しまい忘れ」も舌が出る一因となる
- 骨格や歯並び(特にアンダーショットやオーバーショット)が影響することも
- 高齢になると筋力低下や歯の問題で舌が出やすくなる傾向がある
- 舌の色がピンク色以外(赤すぎる、白い、紫、黄色など)の場合は注意が必要
- 舌の腫れ、しこり、傷、出血は病気のサインの可能性がある
- 強い口臭、よだれの増加、食欲不振などの症状も要注意
- 歯周病や口内炎、口腔内腫瘍などの口腔トラブルが原因となることも
- 舌が出ている状態を放置すると、舌の乾燥や傷、感染のリスクがある
- 原因が病気の場合、放置すると病状が悪化する恐れがある
- 舌の乾燥が気になる場合は水分補給を促し、必要なら保湿剤を使用する
- 口腔ケア(歯磨きなど)は舌の健康維持にもつながる
- 普段と違う様子や気になる症状があれば、早めに動物病院を受診することが大切
- 獣医師に相談する際は、症状や変化を具体的に伝えることが診断の助けになる



