高齢になった愛犬や体の不自由な犬との暮らしで、オムツの使用を検討する飼い主さんは少なくありません。しかし、オムツを使い始めると「犬のオムツでは、うんちをどうするのか」という新たな壁に直面することがあります。オムツ着用犬のうんち問題、どう乗り越えるか悩んでいませんか。
この記事では、愛犬のオムツでうんちが汚れた時の正しい対処法から、オムツから漏れるうんちを徹底対策する方法まで、飼い主さんの悩みを解決するための情報を網羅的に解説します。衛生的で、オムツに付いたうんちの処理マニュアルや、うんちの後処理も楽々になるオムツ犬向け便利グッズについても詳しくご紹介します。
また、もう失敗しないためのオムツ着用犬のうんち対策とオムツ選びのコツ、シニア犬のうんちトラブルを乗り切るための安心ケア、オムツ併行して考えたい、うんちトレーニングのしつけのポイントも紹介します。さらには、うんちのタイミングを逃さない犬のサインの見極め方や、うんちでわかる健康状態とオムツ着用犬の異変チェック、そしていざという時に役立つ、うんちポケットの作り方まで、飼い主さんの「どうしよう」を「こうすればいいんだ」に変えるための具体的な方法を丁寧に説明していきます。
記事のポイント
- うんちをしっかりキャッチできる犬用おむつの選び方
- オムツがうんちで汚れた際の衛生的な処理とケア方法
- うんち漏れを未然に防ぐための具体的なテクニック
- 愛犬とオムツ生活を快適にするための便利グッズと工夫
犬のオムツでうんちをどうする?基本の対策と知識

ここでは、犬のオムツでうんち問題を解決するための基本的な考え方と、知っておくべき必須知識について解説します。
- オムツ着用犬の「うんち」問題、どう乗り越える?
- シニア犬の「うんち」トラブル、オムツで安心ケア
- 愛犬のオムツ、うんちで汚れた時の正しい対処法
- 衛生的!おむつに付いた「うんち」の処理マニュアル
- 「うんち」でわかる健康状態:オムツ着用犬の異変チェック
オムツ着用犬の「うんち」問題、どう乗り越える?

犬にオムツを着用させると、排泄物で部屋が汚れるのを防げる一方で、うんちの処理に関する新たな悩みが生じます。主な問題は、オムツからの漏れ、皮膚への付着による不衛生、そして交換や処理の手間です。これらの問題は、犬にとっても飼い主にとっても大きなストレス源となり得ます。
この問題を乗り越えるためには、まず「オムツは万能ではない」と理解することが第一歩となります。その上で、うんちの特性に対応したオムツを選び、正しい装着方法をマスターし、汚れた際の適切なケアを迅速に行うという、一連の対策を体系的に実践することが求められます。
例えば、おしっこは吸収体で固められますが、うんちは形状があるため、オムツ内で広がったり、隙間から漏れたりしやすい性質があります。このため、ただ吸収力が高いだけでなく、うんちを物理的に受け止める構造を持つオムツを選ぶ視点が大切になるのです。
したがって、飼い主さんが直面する「うんち問題」は、正しい知識と適切なアイテム、そして日々のケアを組み合わせることで、十分に乗り越えることが可能です。この記事を通して、その具体的な方法を一つひとつ学んでいきましょう。
シニア犬の「うんち」トラブル、オムツで安心ケア

加齢に伴い、犬は足腰や排泄に関わる筋力が衰え、自分で排泄をコントロールすることが難しくなります。また、認知機能の低下により、トイレの場所が分からなくなることも少なくありません。このようなシニア犬のうんちトラブルには、おむつが心強い味方になります。
シニア犬のオムツ選びで特に配慮したいのは、皮膚への優しさです。高齢になると皮膚がデリケートになり、蒸れやかぶれといった皮膚トラブルを起こしやすくなります。このため、通気性が良く、肌触りの柔らかい素材でできたおむつを選ぶことが大切です。吸収力が高く、排泄後も表面がサラサラに保たれる「長時間用」なども、皮膚への負担を軽減する助けとなります。
また、寝たきりの犬の場合は、オムツだけでなくペットシーツを併用するのも有効な方法です。体の下にあらかじめシーツを敷いておくことで、万が一オムツから漏れてしまっても寝床が汚れるのを防げます。
最も重要なのは、トイレの失敗を叱らないことです。加齢による失敗は、犬自身もどうすることもできません。叱ることは犬に不要なストレスを与え、信頼関係を損なう原因にもなります。オムツを上手に活用し、穏やかな気持ちで愛犬を見守り、清潔で快適な環境を整えてあげることが、何よりも大切なケアと言えるでしょう。
愛犬のオムツ、うんちで汚れた時の正しい対処法

オムツにうんちが付着してしまった場合、最も優先すべきは、迅速かつ衛生的に愛犬の体を清潔にすることです。放置すると、皮膚炎や感染症の原因となるだけでなく、愛犬に強い不快感を与えてしまいます。
対処の基本は「優しく洗浄し、しっかり乾燥させる」ことです。
準備するもの
- ぬるま湯(35~37℃程度)
- ペット用おしりふき、または刺激の少ないウェットティッシュ
- お尻洗浄用の洗浄液(必要に応じて)
- 清潔なタオル
- ドライヤー
対処の手順
- 速やかにオムツを外す: まずは汚れたオムツを静かに外し、汚れが広がらないようにします。
- 汚れを拭き取る: 体に付着したうんちを、ペット用おしりふきやぬるま湯で湿らせたタオルで優しく拭き取ります。ゴシゴシ擦ると皮膚を傷つける恐れがあるため、押さえるようにして汚れを移し取るのがコツです。
- 洗い流す: 汚れがひどい場合は、シャワーなどを使い、ぬるま湯でお尻周りを直接洗い流します。この際、犬が怖がらないように、水圧は弱めに設定してください。
- しっかり乾かす: 洗浄後は、清潔なタオルで水分を十分に拭き取ります。その後、ドライヤーの冷風または低温設定で、皮膚と被毛を完全に乾かします。生乾きの状態でおむつを着けると、蒸れて皮膚トラブルの原因になるため、この工程は非常に大切です。
日頃からお尻周りの毛を短くカットしておくと、汚れが付着しにくく、ケアも格段に楽になります。
衛生的!オムツに付いた「うんち」の処理マニュアル

使用済みのオムツの処理は、臭いや雑菌の拡散を防ぎ、家庭内や公共の場の衛生を保つために非常に重要です。正しい手順で処理することで、飼い主さん自身の感染症リスクも低減できます。
基本的な処理方法は、うんちをトイレに流し、オムツ本体は密閉して可燃ごみとして廃棄することです。
正しい処理の手順
- 使い捨て手袋を着用する: 衛生面を考慮し、必ず使い捨てのビニール手袋などを着用してから作業を始めましょう。
- オムツからうんちを取り除く: おむつに付着したうんちを、トイレットペーパーなどを使って取り除き、自宅のトイレに流します。このとき、一度に大量のうんちを流すと詰まりの原因になるため、少量ずつ流すように注意してください。オムツ本体やペットシーツ、おしりふきなどを一緒に流すことは絶対にやめましょう。
- オムツを袋に入れる: うんちを取り除いた後のオムツは、小さく丸めてテープで固定します。
- 密閉して廃棄する: 丸めたおむつを、臭いが漏れないビニール袋や、市販のペット用防臭袋に入れます。袋の口をしっかりと縛って密閉し、自治体のルールに従って可燃ごみとして廃棄してください。
ペット専用の密閉型ゴミ箱(トイレポット)を用意すると、次回のゴミ収集日まで臭いを気にせず保管できるため、非常に便利です。
「うんち」でわかる健康状態

うんちは健康のバロメーターと言われ、その色、硬さ、量、臭いなどから、体調の変化をいち早く察知することが可能です。
チェックすべきポイントと注意点
- 色: 健康なうんちは、茶色からこげ茶色です。黒っぽいタール状の便(血便の可能性)、白っぽい便(肝臓や膵臓の問題)、緑色の便(消化不良など)は注意が必要です。
- 硬さ: 適度な硬さで、ティッシュで掴めるくらいが理想です。カチカチで硬い場合は便秘、形のない泥状や水様便は下痢のサインです。
- 量と回数: いつもより極端に量が少ない、あるいは回数が多い(少ない)場合は、消化器系の不調が考えられます。
- 臭い: いつもと違う強い酸っぱい臭いや腐敗臭がする場合は、腸内環境の悪化が疑われます。
- 異物の混入: 血や粘液、消化されていない食べ物、誤飲した物などが混じっていないかを確認します。
これらの異変に気づいた場合は、自己判断せずに、うんちの写真や現物を持参して、かかりつけの獣医師に相談してください。日々の観察が、病気の早期発見・早期治療につながります。
犬のオムツでうんちをどうする?実践的なテクニック

基本を理解した上で、ここではさらに一歩進んだ、うんち漏れを防ぐための具体的なテク-ニックや、介護の負担を軽減する工夫について詳しく解説します。
- オムツから漏れる「うんち」を徹底対策!
- うんちポケット作り方
- 「うんち」の後処理も楽々!おむつ犬向け便利グッズ
- 「うんち」のタイミングを逃さない!おむつ犬のサイン
- オムツと「うんち」トレーニング:しつけのポイント
オムツから漏れる「うんち」を徹底対策!

適切なオムツを選んで正しく装着しているつもりでも、うんちが漏れてしまうことがあります。漏れの原因は一つとは限らず、複数の要因が絡み合っている場合がほとんどです。徹底的に対策するためには、原因を突き止め、一つずつ潰していく地道な作業が求められます。
漏れの最大の原因は、オムツと体の間にできる「隙間」です。特に、足の付け根やしっぽの周りは隙間ができやすいポイントです。装着時には、オムツを股間から前方にしっかりと引き上げ、足回りのギャザーが内側に入り込まないように、きちんと立てて体にフィットさせることが肝心です。テープで留める際は、少し毛が沈み込むくらいの力加減で、緩すぎず、きつすぎないように調整してください。
それでも漏れてしまう場合は、補助アイテムの活用が非常に有効です。犬用のおむつカバーやサスペンダーを使用すると、オムツのズレを物理的に防ぎ、フィット感を格段に向上させることができます。特に活発に動く犬や、体型が痩せてきてオムツが緩くなりやすいシニア犬には効果的です。
また、吸収量を補うために、犬用おむつの内側に人間用の尿とりパッドや生理用ナプキンを貼り付けるという方法もあります。これにより、オムツ本体の吸収能力を超えた場合でも、漏れ出すリスクを低減させることが可能です。
うんちポケット作り方

市販のオムツではどうしても体に合わない、あるいはうんちの漏れが改善されないという場合には、おむつに「うんちポケット」を自作する方法が有効な解決策になることがあります。うんちがポケットに収まることで、体に直接付着するのを防ぎ、後処理も格段に楽になります。
必要な材料
- 犬用のオムツ(長時間用など吸収力の高いものがおすすめ)
- キッチン用のポリ袋やペットのうんち処理袋
- 布ガムテープや養生テープ
- マスキングテープ
- はさみ
作成手順
- ビニール袋の準備: ポリ袋を、おむつの幅に合わせて、長さ20cm程度にカットします。
- 袋の縁を補強: カットした袋の開口部側を、外側に1cmほど折り返します。その折り返した部分を、マスキングテープでぐるりと一周貼り付けて補強します。これにより、袋の口がしっかり開いた状態を保ちやすくなります。
- オムツに切り込みを入れる:オムツのしっぽ穴の周辺に、ハサミで数カ所、浅い切り込みを入れます。これは、後でテープを貼りやすくするための工程です。
- ポケットの取り付け: 準備したビニール袋を、おむつの内側、しっぽ穴の下あたりに配置します。袋の三辺(底と両サイド)を、ガムテープでオムツにしっかりと固定します。このとき、袋の開口部が上(背中側)を向くようにしてください。
- 装着と最終固定: 愛犬におむつを装着し、しっぽを穴から出します。その後、ポケット(ビニール袋)の上辺を、しっぽの上まで引き上げ、その部分をオムツの外側からテープで留めて固定します。
この工夫により、犬がうんちをすると、便がビニール袋の中にストンと収まりやすくなります。愛犬の体型に合わせて、袋の大きさやテープの位置を調整してみてください。
「うんち」の後処理も楽々!オムツ犬向け便利グッズ

犬のおむつ生活、特にうんちの処理は、飼い主さんにとって大きな負担となりがちです。しかし、近年では、その負担を軽減してくれる便利なグッズが数多く開発されています。これらを上手に活用することで、日々のケアがぐっと楽になり、精神的な余裕も生まれます。
まず、おむつ選びの段階で「うんちポケット付きおむつ」を選択するのも一つの手です。これは、あらかじめうんちをキャッチするための袋状のポケットが備わっている製品で、「うんぽパンツ」などの名称で販売されています。手作りする手間が省け、非常に便利です。
オムツのズレや漏れを防ぐための「オムツカバー」や「サスペンダー」は、すでに紹介しましたが、デザイン性の高いものも多く、ファッション感覚で取り入れることもできます。
オムツ交換時のケア用品としては、拭き取りと保湿が同時にできる「ペット用おしりふき」や、洗い流し不要の「お尻洗浄液」があると、時間がない時でも手軽に体を清潔に保てます。
そして、使用済みおむつの保管には、臭いを強力にシャットアウトする「防臭袋」や、ペダル式で衛生的に捨てられる「ペット用トイレポット(密閉型ゴミ箱)」が非常に役立ちます。これらのグッズを導入することで、おむつ交換から廃棄までの一連の流れがスムーズになり、快適な介護生活をサポートしてくれるでしょう。
「うんち」のタイミングを逃さない!オムツ犬のサイン

オムツをしているからといって、排泄のタイミングを全く気にしなくて良いわけではありません。うんちをした後、オムツの中に長時間放置することは、犬の皮膚にとって非常によくない状況です。うんちのサインに気づき、できるだけ速やかに交換してあげることが、愛犬の快適さを保つ上で大切になります。
犬がうんちをしたくなる時には、特有のサインを見せることが多いです。
主な排泄サイン
- 床のにおいをしきりに嗅ぎ始める
- そわそわと落ち着きなく歩き回る
- 同じ場所をくるくると回り始める
- しっぽを上げたり、腰をかがめたりする姿勢をとる
これらのサインは個体差がありますが、日頃から愛犬の行動を注意深く観察していると、その子なりの排泄前のパターンが見えてきます。
また、行動のサインだけでなく、生活リズムから排泄のタイミングを予測することも可能です。一般的に犬は、朝起きた後、食事の後、そして運動や遊びの後に排泄しやすくなります。これらのタイミングに合わせておむつの状態をチェックしたり、トイレに誘導したりする習慣をつけると、交換のタイミングを逃しにくくなるでしょう。
オムツと「うんち」トレーニング:しつけのポイント

オムツは、粗相による失敗を防ぐための便利なツールですが、あくまで補助的なものと捉えることが望ましいです。特に、まだトイレトレーニングが可能な年齢や状態の犬の場合、おむつに完全に依存してしまうと、トイレで排泄する習慣が身につかなくなってしまう可能性があります。
オムツを使用しながらでも、トイレトレーニングを継続することは可能です。重要なのは、オムツを外している時間を作り、その間にトイレへ誘導する機会を設けることです。例えば、飼い主さんが在宅していて見守れる時間帯は、定期的におむつを外し、トイレの成功体験を積ませてあげましょう。
シニア犬であっても、根気よくトイレに連れて行き、成功したら大いに褒めてあげることで、排泄の場所を再認識してくれることがあります。
オムツは、あくまで「失敗しても大丈夫」という安心材料として活用し、トイレで排泄するという本来の習慣を維持、あるいは再学習させる努力を続けることが、犬のQOL(生活の質)を保つ上でも良い影響を与えると考えられます。おむつをしているからといって、しつけを諦める必要は全くありません。
まとめ:犬のオムツでうんちをどうするか悩んだら

この記事で解説した、犬のオムツとうんちに関する問題への対処法をまとめます。
- 犬のうんち対策にはお尻全体を覆うパンツタイプのおむつが必須
- マナーベルトはうんちに対応できない
- オムツ選びで最も重要なのは愛犬の体に合ったサイズ選び
- ウエストに指1~2本が入る隙間がフィット感の目安
- シニア犬には通気性と肌触りの良いオムツを選ぶ
- トイレの失敗は加齢が原因の場合も多く叱らないことが大切
- うんちで汚れたらぬるま湯で優しく洗浄し完全に乾かす
- お尻周りの毛を短くカットしておくとケアが楽になる
- 使用済みオムツはうんちをトイレに流し密閉して可燃ごみへ
- オムツ交換はうんちで健康状態をチェックする良い機会
- うんち漏れの主な原因はオムツと体の隙間
- オムツカバーやサスペンダーはズレ防止に有効
- 市販品が合わない場合はうんちポケットの自作も可能
- おしりふきや防臭袋などの便利グッズで介護負担を軽減
- 排泄前のサインを見極めて速やかなおむつ交換を心がける
- オムツは補助と考えトイレトレーニングは可能な限り継続する


